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    広島爆心地である島病院の被爆棟瓦、1945年10月11日、渡辺武男採集。長さ30cm(HN0145)。原爆(ウラニウム)の爆発の推定高度600m。核爆発による熱線は数秒程度地上を照射した。熱線の照射温度は未定。瓦の表面は瞬間的に溶融し急冷され、ガラス粒が残された。わずかではあるが発泡した形跡がある

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    長崎爆心地から北方約100m(浦上刑務支所への登り口)にあった民家の瓦、1946年1月13日、長岡省吾採集、長さ16cm(HN077)。原爆(プルトニウム)の爆発の推定高度は500m。熱線の照射温度は不明。瓦の表面は激しく溶融して、溶けた部分が流れた跡がある。盛大な発泡が観察される

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広島・長崎の被爆瓦

広島・長崎の被爆瓦に共通する特徴は、熱線による損傷が、ごく表面部分に留まっていることである。瓦の断面を観察すると、内部は全く変化していない。この点で、二次的な火災によって全焼した瓦と明確に識別出来る。瓦が発泡していることは、瓦の表面が沸点という未だ測られたことのない途方もない温度に達したことを意味している。広島と長崎の両方の瓦が同質であると仮定すると、明らかに長崎の瓦に照射した熱線エネルギーの方が高い。これらの標本は、原爆研究において新たな知見をもたらす可能性を秘めている。 (田賀井篤平)