B39
左右非対称ニワトリ剥製
家禽ニワトリについては説明を要さないであろう。だが、世界中に150億羽以上飼われている家禽ニワトリには古くから多様な品種・系統が育種され、度々さまざまな変異個体や集団が確認される。羽装色の変異はその発現メカニズムとともに十分に解析が進んでいるが、度々特異な変異が実際の飼育現場から報告されることがある。
当該標本個体は極めて珍しい表現型を見せる例である。全身の羽毛は均質の白色で、鶏冠色も典型的なものだが、珍しいことに、左右の脚部の皮膚色が異なっている。左は黄色、右側は暗灰色で、違いは明瞭である。このような表現型を示した原因は不明であるが、発生時のトラブルにより、左右間で異なる皮膚色を発現する細胞が後肢領域に分布したものと推察される。
当該個体は2011年に沖縄県で飼育されていたものを調査により確認して収集し、剥製に作製したものである。白色レグホン系の血統の雑種であることが判明しているが、珍しい突然変異個体として研究が進められてきた。 (遠藤秀紀・楠見 繭)