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    ヒメネズミ(Apodemus argenteus)。頭骨、全長20mm。背側面。立石コレクション

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ヒメネズミ頭骨(立石コレクション)

ヒメネズミは典型的な日本の野ネズミである。大きさは体重20g程度。褐色の背面と白色に近い腹側のコントラストが鮮やかな種である。近縁種と比べて、尾が相対的に長い。

この頭骨群は、立石 隆氏が長きにわたって収集した大量の小型哺乳類コレクションに含まれる。2013年、立石氏本人より総合研究博物館がコレクション全体を譲り受け、立石コレクションとして博物館の哺乳類標本の重要な部分を占めるようになった。立石コレクションは、このヒメネズミ以外にも、たくさんのアカネズミ、カヤネズミ、ハツカネズミ、ドブネズミ、クマネズミ、ハタネズミ、ヤチネズミなどから構成される。これら齧歯類のほか、無盲腸類としてモグラやヒミズなども含む、総合的な小型哺乳類のコレクションである。

立石コレクションは、日本の齧歯類・無盲腸類コレクションとして普通種を網羅するとともに、多岐に渡る生息地の情報、標本作製前の生体計測データを備え、第一級の価値をもつ学術標本群となっている。別に述べた宮尾コレクション(100頁参照)とともに、総合研究博物館の小型哺乳類の二大コレクションであり、この分野の自然史研究の礎を支えている。(遠藤秀紀・楠見 繭)

参考文献 References

遠藤秀紀(2002)『哺乳類の進化』東京大学出版会。