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    ハマサンゴ属の1種。鹿児島県喜界島、完新世(KK-St-4 Porites sp.)

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    年輪の拡大図

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ハマサンゴ類
古環境復元に用いられる長寿サンゴ

サンゴとは刺胞動物のうち硬い骨格を持つものを指し、特にサンゴ礁を形成するものを造礁サンゴという。造礁サンゴは体内に褐虫藻という微小な藻類を共生させており、褐虫藻の光合成産物を利用して成長することができる。そのため、造礁サンゴが生育できるのは日当たりの良い熱帯の浅海に限られる。

ハマサンゴ類は造礁サンゴの中でも古環境変動の研究で注目されているサンゴである。ハマサンゴ類は塊状の骨格を形成し、巨大なものでは3mを超える大きさのものが知られている。サンゴには季節によって成長の早い時期と遅い時期がある。従って、骨格の断面には樹木の断面に見られるものと同じような年輪が刻まれている。年輪に沿ってサンゴの成長量の変動を測定したり、年輪に沿って同位体比や微量元素の変動を測定することによって、過去の環境の変化を推定することができる。

展示標本の産地である喜界島は島全体がサンゴ礁が隆起してできた島であり、隆起サンゴ礁段丘がよく発達する。段丘の標高は高いところで200mにも達し、その年代は12万年前に遡ると推定されている。このような長時間の変動の記録がある場所は限られており、過去の地球環境を研究する好適な場所として注目されている。

長寿サンゴを用いた研究には、数百年の長期にわたる環境変動を連続して追跡できる長所がある。そして、化石サンゴを用いれば、年代測定と成長輪解析と同位体分析を組み合わせることにより、過去に起きた環境変動の実証的研究を行うことができる。喜界島の化石サンゴの標本からは実際に過去の水温と塩分を復元が行われている。 (佐々木猛智・茅根 創)

参考文献 References

Morimoto, M. et al. (2004) Seasonal radiocarbon variation of surface seawater recorded in a coral from Kikai Island, subtropical northwestern Pacific. Radiocarbon 46: 643-648.

Morimoto, M. et al. (2007) Intensified mid-Holocene Asian monsoon recorded in corals from Kikai Island, subtropical northwestern Pacific. Quaternary Research 67: 204–214.