東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
東京大学 The University of Tokyo
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このたび東京大学総合研究博物館小石川分館では、特別展示「チャンディガールのル・コルビュジエ」を開催いたします。ル・コルビュジエが計画したインドの新都市チャンディガールは、ヨーロッパとは全く異なる文化・風土・環境のなかで、近代都市の可能性と向き合った建築家の思考の痕跡であるといえます。本展では、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の千葉学研究室が制作したチャンディガールの中核施設3棟の模型(縮尺1/100)が実物と同じ位置関係で配置され、ル・コルビュジエのスケッチや図面とともに展示されます。本展は研究室の活動成果を広く公開することを主眼として、千葉学研究室に監修をいただき、建築倉庫ミュージアムに協力をいただきました。ここに記して心より御礼を申し上げる次第です。

東京大学総合研究博物館


特別展示「チャンディガールのル・コルビュジエ」  展示チラシ(PDF)
会 期: 2018年11月15日(木)−2019年2月11日(月祝)
会 場: 東京大学総合研究博物館小石川分館(建築ミュージアム)
所在地: 東京都文京区白山3−7−1
時 間: 10時−16時30分 (入館は16時まで)
休館日: 月・火・水曜日 (いずれも祝日の場合は開館)、12月27日−1月3日、その他博物館が定める日
入館料: 無料
電 話: 03-5777-8600(ハローダイヤル)
主 催: 東京大学総合研究博物館
監 修: 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻・千葉学研究室
協 力: 建築倉庫ミュージアム

ギャラリー・トーク
日 時: 2019年1月12日(土) 13:30-14:00
会 場: 東京大学総合研究博物館小石川分館(建築ミュージアム) 2階展示室
解 説: 千葉 学(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授)
事前申込不要、入場無料

ごあいさつ

本展示は、東京大学千葉学研究室が企画に携わった建築倉庫ミュージアム主催の展覧会『ル・コルビュジエ/チャンディガール —創造とコンテクストー』展(2018.5.26-2018.7.16)において作成した1/100模型と、その時に展示したル・コルビュジエのスケッチ何点かをお借りして、実現する運びとなりました。
当初の展覧会を再現することはできていませんが、ル・コルビュジエがチャンディガールにおいて構想した都市の一端に触れて頂くことができるかと思います。また、今なぜル・コルビュジエのインドにおける計画に着目するのか、その趣旨は、当初の展覧会の開催にあてて記した文章を一部加筆修正して下記に引用させて頂いています。私たちの企画の動機を少しでも感じ取って頂ければ幸いです。
当初の展覧会を主催した建築倉庫ミュージアム、また展覧会アドヴァイザリーの鈴木布美子氏、企画協力のアート&パブリック株式会社に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

チャンディガールのル・コルビュジエ

ル・コルビュジエが初めてインドを訪れたのは1950年代、彼がすでに60歳を過ぎていた頃である。その後20回以上も渡印し、彼の代表作となる作品群とチャンディガールの都市計画を残すことになった。
彼のインド訪問は、建築家としての根幹を大きく揺さぶったのではないかと思われる。母国とは異なる気候風土、文化との出会いは、新たな構想の源になったであろうし、ブリーズソレイユや大庇は、熱帯の地で生き生きと進化した。また風通しの良い半外部が生活の基盤にある地において、ピロティは格好の集いの場になり、そして光の下での立体造形は存分に展開したのである。
チャンディガールの計画においても、ゾーニング、歩車分離、階層構造の格子状街路、緑地帯など、近代都市計画を象徴する様々な概念が具現化された一方で、彼の絵画にも通じる自然との応答や計画の擬人化など、近代都市計画の概念を撹乱する身体的、有機的側面もより一層際立ったのである。彼が掲げた近代の原則からの逸脱は、インドとの出会いによって加速され、モダニズムそのものにも変質を迫ったのである。
都市をゼロから構想することは、現代においてはリアリティを持ち得ない。しかしながら、チャンディガールで試みられた近代的な方法論と地域との融合/齟齬、そして長い時間の
中で顕在化した受容/変容の過程は、現代の建築、都市を生きる私たちにも、今なお多くの気づきを与えてくれるに違いない。

千葉 学(建築家、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授)


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