東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
東京大学 The University of Tokyo
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ごあいさつ

 このたび東京大学総合研究博物館小石川分館/建築ミュージアムでは、特別展示『貝の建築学』を開催いたします。貝はみずから貝殻を形成してその中で暮らしており、貝殻は貝の建築物とみなすことができます。本展では建築物としての観点から貝殻の形の統一性と多様性を示すことを目的としています。100種以上もの貝殻の内部構造を示す切断標本のほか、世界各地から収集された貝殻標本を前例のない規模で公開いたします。本展が開催される小石川分館は、建築ミュージアムとして自然物や人工物の「アーキテクチャ(構成原理)」の探求を基本テーマとしています。この『貝の建築学』展が、小石川分館のほかの展示とともに、アーキテクチャの発見の契機になれば幸いです。

東京大学総合研究博物館

貝の建築学

 螺旋は生物が作り出す不思議な構造のひとつである。その代表例が巻貝であり、極めて規則的に成長する。貝殻の成長は、「等角螺旋」と「付加成長」という2つのキーワードで説明される。等角螺旋とは螺旋の1種であり、螺旋の中心に対して一定の角度を保ちつつ殻が拡大する成長様式である。付加成長は一旦形成した部分の形や大きさを変更することなく、表面に殻成分を追加することで大きくなる成長様式である。これは屋根や壁を継ぎ足しながら建物を拡張する建築方式に相当する。
 貝は貝殻をみずから形成し、その中で暮らしている。そのため、貝殻は貝の建築物と見なすことができる。貝殻を高倍率で拡大すれば、無数の結晶が規則正しく配列する様子が観察され、貝は煉瓦やブロックに相当する結晶を積み重ねながら建築物となる貝殻を作り上げていることが分かる。ミクロな結晶を成長させつつ貝殻全体の形を制御する機構は謎であり、自然の驚異である。
 本特別展示では建築物としての観点から貝殻の形の統一性と多様性を示すことを目的とし、世界各地から収集された貝殻標本を多数公開する。特に、貝殻の内部構造を示す切断標本は100種以上作成しており、前例のない規模で公開する。

佐々木猛智(東京大学総合研究博物館 准教授/動物分類学、古生物学)


特別展示『貝の建築学』
展示会期:2019年10月26日[土] − 2020年2月27日[木]
2020年2月28日[金]より当分の間、小石川分館は臨時休館いたします。
展示会場:東京大学総合研究博物館小石川分館/建築ミュージアム
所在地:東京都文京区白山3−7−1 アクセス
開館時間:10時−16時30分 (入館は16時まで)
休館日:月・火・水曜日 (いずれも祝日の場合は開館)、12月28日−1月8日、その他博物館が定める日
入館料:無料
電 話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
主 催:東京大学総合研究博物館
ギャラリー・トーク:
  日時:第1回:2019年11月16日[土] 13:30-14:30、第2回(中止):2020年2月29日[土] 13:30-14:30
   第2回のギャラリートークは中止します。
  会場:東京大学総合研究博物館小石川分館/建築ミュージアム 2階展示室
  解説:佐々木猛智(東京大学総合研究博物館 准教授)
  入場料:無料(事前申込不要)
建築博物教室:
  日時:2020年1月18日[土] 13:30-15:00
  会場:東京大学総合研究博物館小石川分館/建築ミュージアム 2階展示室
  解説:佐々木猛智(東京大学総合研究博物館 准教授)
  入場料:無料(事前申込不要)

展示チラシ(PDF)
展示標本資料(PDF)

展示制作者/協力者
学術展示企画:佐々木猛智(東京大学総合研究博物館 准教授)
展示デザイン:松本文夫(東京大学総合研究博物館 特任教授)
小石川分館:鶴見英成(東京大学総合研究博物館 助教)、永井慧彦(同特任研究員)
佐々木研究室(理学系研究科地球惑星科学専攻・理学部地球惑星環境学科):
  西田 梢(現所属:茨城高等専門学校)、佐藤 圭(現所属:早稲田大学)、竹田裕介(現所属:北海道大学)、
  佐藤英明(修士課程2年)、山口智弘(修士課程1年)、中路 渚(修士課程1年)、田中風羽(学部4年)
X線CT撮影:前川 優
標本同定支援:知野光雄、小菅丈治
コレクション寄贈:速水 格、加藤繁富、間瀬欣彌、川口四郎、土田英治
展示準備:東京大学総合研究博物館ボランティア
展示施工:アカシオ


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