東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
東京大学 The University of Tokyo
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東京大学総合研究博物館ニュース ウロボロスVolime17Number3




[資料]プレイベント記録

Mode & Science / Naoki Takizawa Spring Summer 2009 Collection
2008年10月31日 小石川分館 (ファッション・イベント)
 開学以来東京大学に蓄積されてきた学術標本を、クリエーションを刺激するデザイン資源として活用を図るため、デザイナー滝沢直己氏とコラボレーションを行った「モード&サイエンス」の初の試み。東京帝国大学の動物学教室教授箕作佳吉が研究教育用資料として国内外から集めた蝶のコレクションを歴史遺産としてでなく、デザイン資源として見ることにより、虫に喰われ朽ち果てた標本の姿に対しても、百年を超えた「時」の流れや審美的な鑑賞に耐える造形的なパターンの存在を見出し、テキスタイルに落とし込んだ。ジャケット、コート、シャツ、ドレス等、様々なアイテムに展開されたモード作品は、本イベントの後、パリコレでも発表された。

(提供:株式会社 NAOKI TAKIZAWA DESIGN)

Mode & Science II by Naoki Takizawa / Micrographia
2009年10年29日 小石川分館 (ファッション・イベント)
 「Natural History by Naoki Takizawa」の名前で立ち上げた「博物誌シリーズ」の第二弾。1920年代にフランスで撮られた鉱物や植物や結晶を記録した顕微鏡写真がデザイン資源となった。太さ十四デニールの繊維で織り上げられたスーパー・オーガンジーを素材とし、そこに特殊プリントとプリーツの加工を施した。「モード&サイエンス」の二度目の成果を世に問うファッション・イベントとなった。



Mode & Science by fab / 「MO」VE[MENT]
2009年12月12日-13日 小石川分館  (ファッション・イベント)
 博物館工学ゼミのモード&サイエンス班と、東京大学服飾団体fabが合同で開催したファッション・イベント。これまでアートとサイエンスの領域を横断する展示を行ってきた小石川分館を会場に、モデルと観客との固定的な関係を脱却することを試みた。従来の定型化したファッションショーの形式ではなく、鑑賞者とその対象たるモデルの両者とが、情報の能動的な選択という「movement([主体の、客体の]動き、移動)」を起こすことにより、博物館という場所に螺旋のように廻り流れ行く「moment([連続性を帯びた]時)」を生み出すという挑戦となった。



ラミナリエ演劇公演 / Tu non mi conosci (あなたは私を知らない)
2010年3月7日 小石川分館 (演劇)
 イタリア・ボローニャの劇団ラミナリエとの共同制作による演劇公演。本作品は、いわゆる演劇のための劇場空間のみならず、様々な場所で上演され、その固有の建築的特徴に着目して作り上げられることを企図している。ラミナリエとの共同制作により、歴史的建造物でありかつミュージアム空間である小石川分館で現代演劇を上演する本企画は、過去と現代という歴史の重層性を浮かび上がらせるとともに、ミュージアムと演劇という異なる領域を融合させ、新たな芸術表現のための実験的なコラボレーションとなった。



Mode & Science III by Naoki Takizawa / Anthropometria
2010年10月28日-30日 小石川分館 (展示[ファッション])
 「Natural History by Naoki Takizawa」による「博物誌シリーズ」の第三弾。1880年代のドイツで作られた解析幾何学模型の存在が、あらたな挑戦の原動力となった。石膏製のオブジェが有する多様にして変化に富む湾曲面。その全体もしくは一部を、高度な型紙技術・縫製技術によって、モードの造形世界へ転移させる。それによって、アーティストにとっての永遠の課題とも言える、人間の身体のフォルムや運動の問題に取り組んだ。服の形態と人体の運動の相関性に焦点を絞り、その試みをモードとして実践してみせる上で必要となるパターンナーの仕事と縫製の技術に、観者の眼を惹きつける展示会となった。



ファンタスマ―ケイト・ロードの標本 (Fantasma: Kate Rohde’s Chamber of Specimen)
2010年11月6日-12月5日 小石川分館 (展示[現代美術])
 明治期に旺盛した擬洋風建築である小石川分館の空間内に、当館が所蔵する学術標本で構成された現代版「驚異の部屋」とオーストラリアの現代美術家ケイト・ロードがそれに着想を得て制作したサイトスペシフィックな新作の数々を織り混ぜたインスタレーションを展開した特別展示。「まぼろし」、「幻影」を意味する「ファンタスマ」をタイトルに掲げた本展覧会は、過去と現在、学術と芸術、実在と架空という既存の領域を横断した重層的な未知の世界を作り上げた。本展では、大学博物館における教育活動として、博物館工学ゼミの学生が準備段階から展覧会づくりに参加した。



Mode & Science by fab / Meso
2010年12月18日-19日 小石川分館 (ファッション・イベント)
 博物館工学ゼミのモード&サイエンス班と、東京大学服飾団体fabが合同で開催したファッション・イベント。微視的世界と巨視的世界の中間の位相である「メゾ」に存在しているわれわれが、それら二つの間にある断絶を超えること、あるいは「メゾ」閾を拡張させることを根源的な欲求に従ったコンセプトとした。小石川分館、ひいては博物館を知的欲求の集積の場として捉え、それらとファッションとの「キアスム(交叉、交叉点)」を生み出す試行となった。



IMAGINARIA―映像博物学の実験室
2011年2月18日-27日 小石川分館 (展示[映像])
 小石川分館という類まれな建築空間を舞台として、映像博物学の実験展示を試行した展示。研究者・学芸員・学生や映像作家らによって制作されたさまざまな映像は、ひとつのスクリーンで集約上映されるのではなく、建築空間の随所に形を変えて埋め込まれた。「驚異の部屋」を企図した既存の展示空間において、映像は標本資料と共存しつつ、並置・重層・代替・包含・透過・反射なとの効果を生み出し、時に内部空間を飛び出して外部環境に結像した。本展示は、映像の時空間を重ね合わせることで新たな博物空間を創出する試みとなった。



森のカメラ・オブスクラ
2011年4月16日-7月3日 東京都庭園美術館 (展示)
 東京大学総合研究博物館の所蔵する300万点超のコレクション は、「森」のイメージを喚起する標本に事欠かない。かつてシュルレアリストがそうしたように、われわれもまた学術標本収蔵庫という「森」のなかを彷徨しながら、思いつくままに標本を選びとり、博物誌の小部屋を「眼の愉楽」のために仮構してみようと考えたインスタレーション展示。



東京大學行動博物館 / 驚異之屋―攝影家上田義的風格主義博物誌
(The University of Tokyo Mobilemuseum / Chamber of Curiosities: Manneristic Natural History photographed by Yoshihiko Ueda)
2011年5月17日-8月14日 国立台湾芸術大学 (展示[写真])
 現代広告写真界の第一人者である上田義彦氏撮影による東京大学総合研究博物館の学術標本写真の展覧会。2006年冬から2007年春にかけて、総合研究博物館本館で行われた同名の展覧会をモバイルミュージアム用に組み替えた。古いモノの価値と魅力、自然のフォルムの神秘と驚異、生き物の尊さと儚さといったものが、精緻なフォトイメージで表現された。東京大学の由緒正しい学術標本を真正面から見据えたこの偏愛的博物誌は、「フォトアート&サイエンス」の協働作業の成果として、世界的に見て例のないものと言える。



東京大學行動博物館 / 人體測量法―人體形態運動 模型與科學系列之三
(The University of Tokyo Mobilemuseum / Anthropometria: Mode & Science V by UMUT + Naoki Takizawa)
2011年5月16日-8月14日
国立台湾大学博物館群 (展示[ファッション])
 ドイツで製作された三次元関数の石膏製実体模型のコレクションの幾何学模型に見られる不可思議なフォルムから、その多様な曲面のありようを服の造形に活かした「モード&サイエンス」の試み。2010年10月に小石川分館で行われた同名展示会を、人間の身体の形状や機能や運動についての関心に基づき、モバイルミュージアムによる展覧会としてさらに発展させた。



BIOMECANICA―河口洋一郎の異形博物誌
2011年7月22日-9月25日 小石川分館 (展示[現代アート])
 小石川分館の常設展示「驚異の部屋」に現代アーティストの創造力を重ね合わせることにより、アート&サイエンスの新たな展開を実験的に模索した展覧会の一つ。1970年代よりコンピュータ・グラフィックス(CG) の分野において世界的に高い評価を得、現在も旺盛な創造力で芸術家・研究者として活動を続けている、東京大学大学院情報学環教授の河口洋一郎氏をコラボレーターに迎えた。今回展示する立体造形は、河口氏が巻貝、クラゲ、魚、蝶といった海や陸の生物から発想を得て制作された独自の作品群であり、その驚異の容貌の数々は、小石川分館に新たな異形博物誌をもたらした。



Cabinet de Curiosits : Photographies des Collections de l'Universit de Tokyo par Yoshihiko Ueda 2011年9月29日-10月22日
リヨン市ガダーニュ美術館 (展示[写真])
 現代広告写真界の第一人者である上田義彦氏撮影による東京大学総合研究博物館の学術標本写真の展覧会のモバイルミュージアム・ヴァージョン。台湾での展覧会後に、場所をフランス・リヨンに移して展示された。



Sweets & Science / ピエール・エルメ・パリ 2011-2012コレクション
“Sous le signe de Nature(自然に抱かれて)”
2011年10月4日 小石川分館 (フード・イベント)
 「スイーツ界のピカソ」としてフランス菓子の世界をリードする職人ピエール・エルメとのコラボレーションを企画実現し、その協働の成果を「スイーツ&サイエンス」と題したフード・イベント。小石川分館の常設展示のなかに「庭園(Jardin)」をテーマとするエルメの新作群のフランス菓子を配置した。味覚や嗅覚のみならず、パテシエとして視覚的要素の重要性を誰よりも強く意識しているエルメの創作菓子それ自体が、可食性の「アートワーク」としても鑑賞にたえうる展示物となった。本企画は、「アート&サイエンス」という、中長期的な展望に立って進められてきた研究の、その枠組みの拡張に大きく寄与するものとなった。



Jadis le Japon : Regards figs par l'Occident
2011年10月10日-30日 リヨン市庁舎前 (展示[写真])
 2011年にフランス・リヨンで行われた東大フォーラムの一環として、明治期の日本人の姿を写した名刺判写真を規格外の巨大サイズに拡大し、リヨン市庁舎前に展示したモバイルミュージアム。多くのリヨン市民が日常的に行き交う町の中心部に、突如として一種のミュージアム空間を創出し、人々に新鮮な驚きと文化的発見の機会を与えた。



Anthropometria : Mode & Science III par UMUT + Naoki Takizawa
2011年10月19日-2012年1月8日
リヨン服飾美術館 (展示[ファッション])
 「Natural History by Naoki Takizawa」による「博物誌シリーズ」の第三弾のモバイルミュージアム・ヴァージョン。2010年10月に小石川分館で行われた同名展示会を発展させた台湾での展覧会を、さらにリヨン版としてヴァージョン・アップし、イブ・クラインへのオマージュによる展示物や展示台の工夫を充実させた。



形與力―形態的多様性
(Forms and Forces: morpho-diversities)
2011年11月23日-2012年3月18日
国立台湾大学博物館群 (展示)
 台湾大学との共催事業の第二回展。広く自然物や人工物に見出されるモノの「かたち」に注目し、その多様性の豊かさを例証してみせることを狙いとした。「かたち」の世界は多様であり、変化に富んでおり、それは自然界をおりなす動物や植物や鉱物においても、また人間が生み出した道具類や嗜好品においても同じである。質量はさまざまな「かたち」を纏うことで、内在するエネルギーを眼に見えるかたちに換える。人間の眼は、そうしたエネルギーを美しい「かたちのちから」として認識している。「ちから」のある「かたち」に着目し、自然と文化の隔てのみならず、分野や組成や成り立ちの違うモノどうしのあいだを架橋する実験展示となった。



Mode & Science IV by Naoki Takizawa / eCornuCopia 2011年12月1日-3日 小石川分館 (展示[ファッション])
 東日本大震災の経験を経て構想された「人とその生活を庇護するものとしての服」というコンセプトによる滝沢直己特任教授デザインのモードの展覧会。「モード&サイエンス」シリーズの第四回展として、造形的な着想源を博物館に蓄積されている古い学術標本のうち「貝殻」に求めた。貝にとって、その殻は自身を庇護する服であり、家である。「エコ」(家)と「コルヌコピア」(生産性に富む貝殻)を結ぶ造語を展覧会タイトルに掲げ、新たなファッション創造を提示するのみならず、人間にとって、安寧の場としての「最小ハウス」のコンセプトを、あらためて世に問う展覧会ともなった。



Mode & Science by fab / via 1.43
2011年12月10日-11日 小石川分館 (ファッション・イベント)
 「1.43」とは水晶体の屈折率をあらわす。視覚と認識の差異という問題に対し、われわれが目を開いている時に対象から発せられる光が「水晶体」を「経由=via」することのみは唯一普遍の事実であるという客観性に着目し、モードの実験を試みた。ミュージアムの中で、生の視覚と認識の差異を提示し、モードやサイエンスという事象がもつ意味を深化させる実験的イベントとなった。



逸脱美考―規格外規範外規則外 (Extravagance: Out of Scale, Out of Norm, Out of Rule) 2012年5月17日-9月23日
国立台湾大学博物館群 (展示)
 台湾大学との三回目の共催事業。博物学の原点に立ち返り、台湾大学と東京大学、両大学に蓄積された膨大な学術標本のなかから、規格や規範や規則から逸脱していると思われるものをひとつところに集めて見せた展覧会。それらは、たしかに規格外、規範外、規則外のものであるが、しかしそうであるが故に、稀少にして美しくもあり、われわれに驚きの感情を喚起せずにおかぬものである。見て驚くという体験が惹起する好奇心である「人知」の原点を、現在するモノを介して示してみせた。


生薬リヴァイヴァル
2012年12月8日-22日 小石川分館 (展示)
 東京大学大学院薬学系研究科・薬学部との共催展。学内に蓄積された薬学標本の一般公開を通じて、今日の薬学研究と歴史標本のあいだを架橋し、新たな研究分野開拓の可能性と方向性を示すことを目指した本展は、新薬の製造開発の着想源やリソースとしての歴史的な生薬サンプルの再評価を促す機会となった。



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