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    桂矮鶏。剥製、全長300mm。山口コレクション

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    山口コレクションの矮鶏群。剥製

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E3
和鶏剥製
ニワトリコレクター 山口健児

山口コレクションとは、山口健児(たける)氏の収集したニワトリ関係の総合的コレクションである。山口氏は日本農産工業株式会社に勤務し、常務取締役として活躍した人物である。コレクションは40羽を越える日本鶏の剥製を中心とし、欧米産品種の剥製、骨格、野生鳥類の卵殻、そしてニワトリに関する民具を含む、大コレクションである。氏が勤務し、経営を進めた日本農産工業株式会社は、動物の飼料や鶏卵を生産しているが、和鶏館という展示施設を作り、長くコレクションを公開していた。

2012年、日本農産工業株式会社のご厚意により、コレクションがすべて総合研究博物館に寄贈され、家禽研究の中心的資料として新たな道を歩み始めている。総合研究博物館主催の展示行事では、日本鶏を紹介するストーリーにおいて活躍し、ニワトリの多様さを示す貴重な標本群として公開されてきた。

UMUTオープンラボでは、矮鶏を中心に標本を展示する。矮鶏は江戸時代ににその起源をさかのぼるとされる。矮鶏を育種・改良した飼育者たちの目的は、愛玩動物として飼うためのニワトリを作ったことだといえる。わずか500g台で成長を終えてしまう矮鶏は、成長パターンに対して改良が重ねられたとともに、姿かたちを愛でるための鶏として成立した。大きな眼窩・眼球、身体に対して長すぎる風切羽、そして短い後肢は、鑑賞を通じて飼育者を楽しませるための特徴である。畜産業における食肉・鶏卵生産とは一線を画す、人の精神的潤いを満たすために作られた品種集団なのだ。鑑賞用品種は、同時期に欧米でも作出されたが、徳川幕府によって平和が続き、文化が花開いたわが国で、矮鶏は人と動物の精神世界を結ぶ象徴として多様に作出され、今日に至っているといえる。(遠藤秀紀・楠見 繭)