平成24年度学芸員専修コース共同企画展示
『HUNTERS―渡辺仁博士の民族学資料収集』展
1998年、渡辺仁博士の遺したコレクションが東京大学総合研究博物館へ寄贈された。中でも、パプア・ニューギニアの狩猟採集民などの調査を通じて収集された、民族学資料の充実が目を引く。狩猟具や漁労具、土器、石斧など、それら生きるための道具の集積は、人類生態系を理解しようとした渡辺博士の研究姿勢を物語っている。
渡辺博士は、ニューギニアのオリオモ地区ウォニエ村にあるすべての弓矢と所有者、製作者、製作法、使用法などを対応付けた民族学的調査方法、名づけて「弓矢センサス」によって、そこに住む人々の生活様式や文化を、弓矢を中心に紐解いてみせた。村人の生き様までも詳細に書き記したノートからは、弓矢に関わる個人レベルの生態と、社会というシステムを有機的に関連付けることを目指した博士の俯瞰的かつ先鋭的な思考が見て取れる。
今回は、博士のコレクションの中から、ウォニエ村から収集した53本の矢と、それらにまつわる知を記録した大量のノートや各種資料、分析用に採集した木材や石材の標本を展示する。生きるために矢を研ぎ澄ますウォニエ村の人びとはハンターであり、学問知を追って資料を求めた渡辺博士もまたハンターである。ウォニエ村の生活を支える弓矢と、博士の情熱あふれる記録類通して、われわれ人類に内在する「生」と「知」への渇望を、ぜひ皆様に感じ取っていただければと思う。
展示会場パノラマ写真(JPEG)
展示ポスターver.1(PDF)
展示ポスターver.2(PDF)
今回の展示は、本館が平成5年から続けている専門的リカレント教育「学芸員専修コース」の中で制作された。
平成24年度学芸員専修コース →専修コース内容
展示課題:標本の収集と表現 ―渡辺仁収集民族学コレクションを題材に―
制作期間:平成24年11月5日(月)〜11月9日(金)
担当教員:遠藤秀紀(東京大学総合研究博物館)・佐々木猛智(同)
監 修:西秋良宏(同)
制作指導:松本文夫(同)・関岡裕之(同)・松原始(同)・鶴見英成(同)
協 力:池田博(同)・宮本英昭(同)・中坪啓人(同)・石井龍太(同)・中嶋浩子(同)・清水晶子(同)・伊藤泰弘(同)・三家本めぐみ(同)
写真撮影:松本文夫(同)
制作参加者:中川あや(奈良文化財研究所)・下國由貴(株式会社乃村工藝社)・木羽康真(大阪市立美術館)・津波古真由美(公益財団法人沖縄こどもの国)・永越信吾(葛飾区郷土と天文の博物館)・ノ澤宏美(Bunkamuraザ・ミュージアム)・井上素子(埼玉県立自然の博物館)・揖善継(和歌山県立自然博物館)・燻R浩司(東京大学総合研究博物館)・椎野勇太(同)
HUNTERS―渡辺仁博士の民族学資料収集
平成24年度「学芸員専修コース」共同企画展示
開催期間:2012年11月22日(木)―会期延長開催中(終了日未定)
開館時間:10:00―17:00(ただし入館は16:30まで)
休館日:土曜・日曜・祝日、1月16日
入館料:無料
ハローダイヤル:03-5777-8600
会場:東京大学総合研究博物館(本郷キャンパス内) →地図