東京大学総合研究博物館 The University Museum, The University of Tokyo
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真壁伝承館・歴史資料館

桜川市真壁町の町並み

桜川市真壁町の町並み

真壁伝承館の外観

歴史資料館の展示室

歴史資料館の展示什器「たからケース」

東京大学総合研究博物館が展示計画を行った歴史資料館
茨城県桜川市「真壁伝承館・歴史資料館」 


 茨城県桜川市は筑波山の北側に位置し、桜川の流域に展開する人口45000人の市である。市内の真壁町には中世の城跡や近世の在郷町の町並みが残っており、城跡は国の史跡(1994年)に、町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区(2010年)に指定されている。その真壁町の中心部に、「真壁伝承館」という桜川市の文化施設が完成した(2011年9月開館)。ホール、歴史資料館、図書館などを擁する多目的複合施設で、設計組織ADH(渡辺真理+木下庸子+山口智久)によって設計された。歴史的町並みの要素を抽出して再構成する「サンプリング&アッセンブリ」という計画手法によるデザインに特徴がある。
 真壁伝承館の中に設けられる「歴史資料館」の展示計画を、東京大学総合研究博物館が受託研究として行った。歴史資料館は、桜川市に関わるさまざまな標本資料を収集保存し展示公開する施設である。旧歴史民俗資料館の保存資料および最新の発掘成果等を基盤として、新しい時代の要請に応えるミュージアムをつくることが求められた。真壁地区の歴史的町並み全体が、いわば「領域型ミュージアム」としての可能性をもっている。歴史資料館は都市域と連携した情報発信のセンターとして機能することが期待される。
 歴史資料館の展示においては、桜川市の歴史文化の全体像をわかりやすく展示するために、地域に関わる「時間」=歴史、「空間」=まち、「モノ」=たから、という3つの基本テーマを設定した。「時間」については、第1室の「タイムライン」という絵巻状の展示によって桜川の歴史的変遷を示している。「空間」については、第2室で真壁地区の町の成り立ちを紹介し、町並、城跡、建物、陣屋等を展示している。「モノ」については、第3室に「たからケース」という展示什器を配して真壁のさまざまなお宝を展示する。これらの3つの切り口を通して、桜川の博物誌を多面的に描くことを企図している。
 展示空間はダークグレーの壁・天井と白いケース内装を基調としつつ、第3室ではそれを反転している。展示ケースには0.7×2.1mの定形ガラスを使用し、これを組み合わせることで全ての壁面ケースや展示什器を構成している。中でも、「たからケース」は、立体積層展示の実験的な試みである。大小各種の展示ケースをパズルのように組み合わせてキューブ形に集約し、限られた空間内での多様な展示表現を可能にしている。施設外においては、領域型ミュージアムの展示を町中に設置することも検討されている。これらの試みは、総合研究博物館の「モバイルミュージアム」の実験研究の新たな展開である。

松本文夫(本館特任准教授、建築設計・情報デザイン)


真壁伝承館・歴史資料館の会場写真(スライドショー)


■基本情報
真壁伝承館・歴史資料館
・所在地:茨城県桜川市真壁町真壁198-1
・開館時間:9:00-16:30  ・入館料:無料
・休館日:毎週月曜日、月曜日が祝日の場合は火曜日、年末年始
・アクセス:常磐自動車道/谷田部IC、桜土浦ICから車で約40分
 JR水戸線「岩瀬」駅より車で約15分 (公共交通機関での来館はできません)


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